Tapis tunisien☆チュニジアン・キリム

チュニジアの伝統手工品のひとつにキリムが挙げられます。
チュニジアのキリムの歴史は長く、３千年も前のフェニキア・カルタゴ時代から重要な交易品のひとつと数えられ、９世紀にはケロアンのキリムがバグダットのスルタンに献上されたそうな。
チュニジアのキリムはベルベル、ベドウィンそしてケロアンのものが代表的なようです。
ベルベルキリムは主に南部ガベス地方や北部アインドラハム地方産のものを指し、その図柄は村ごとに異なるそう。ベルベルキリムで頻用される模様には、魚、ファトマの手、タリスマン（魔除け）、目（邪視除け）、幸福の象徴である鳥やオリーブの木などがあります。
砂漠のベドウィンの作るキリムは、しばしば彼等のテントや牡鹿、さそりといった砂漠動物が描かれます。
ケロアンのキリムは１９世紀初めオスマントルコ文化の影響を強く受けているそう。

どのキリムにも絹糸が使われることはごくまれで、その大半は羊毛織に模様を刺して織り上げられます。
そして、以前はざくろなどの草木、貝殻やてんとう虫を使って染色がされていましたが、今日ではこのような自然染色の羊毛糸はまずないそうです。
アンティークのキリムはこういった自然染色なので発色が独特で私は好きです。
ですが、最近は現代ものでも草木染めの羊毛糸や麻糸などを使ってモダンな柄で織り上げられたキリムが売っていたりして面白いです。
マルサの雑貨屋さんなどで扱っていますが、図柄を指定して何ヶ月もかけて織り上げるので高価ですが、アンティークの高価なものを購入するよりははるかに手頃なお値段で手に入れることができます。

こうしたチュニジアン・キリムの発達を支えてきたのは、昔も今も、気の遠くなるような緻密な女性の労働力です。
今世紀初めまで、地方によっては、キリム織りが一人前の女性のたしなみとして、母から娘に伝えられ、自作のキリムを嫁入り道具のひとつに数える習慣もあったそう。
以前の記事にも書きましたが、チュニジアを訪れた２０世紀絵画を代表する画家パウル・クレーはチュニジアのキリムの鮮やかな色の配色に強く影響を受け、彼の画業の転機となり、色彩豊かなクレーの作品が生まれました。
私も色鮮やかなチュニジアのアンティークキリムが大好きです☆