チュニジアといえばチュニジアン・ドア!
無垢材を使って作られチュニジアン・ブルーや白、茶色、黄色などに塗られ黒の鉄鋲で美しい幾何学模様が描かれ、フレーミングにはグレーのチュニジア大理石が使われているとっても素敵なドア。
かつてスペインで起きたレコンキスタ(国土回復運動)の時に逃れた、アンダルシア地方のイスラム教徒が、この国へもたらした文化の賜物です。
どの扉もそれぞれ違うパターンが鋲で描かれ、この扉と白い壁、美しく咲き乱れるブーゲンビリア、そして抜けるような青い空とのコンビネーションがチュニジアの街をより魅力的にしてくれています。
これらのドアに一般的に多いシンボルは、目、星形、月形、魚などです。
"目"はイスラム世界や地中海ヨーロッパなどで民間信仰として信じられている"邪視"からのお守りです。
例えばこちらでは人を褒めたり、持ち物を褒めたりすると邪視が放たれ悪い事が起きると信じられているんです。
チュニジアではそういう場合「タパルカッラ」といって邪視を追い払うのが一般的です。
"魚"は幸運をもたらすと信じられていて、”星”は知識を表し、”月”は発展を表します。
こういった縁起の良いパターンを色々に組み合わせて職人の手によって鉄病で扉に描かれています。
どれ一つ同じ模様のない素敵なデザインのチュニジアン・ドアを眺めながらお散歩するのはチュニジアでの楽しみの一つです。
チュニジアの古く大きな町には、たいてい広い街路で碁盤の目のように区切られた近代的な地区と、メディナと呼ばれる伝統的な地区とがあります。
家々は内向きに建てられ、窓の無い壁に囲まれています。
このように内向きに建てられているのには、社会的、宗教的な理由の他に、気候への対策という意味もあります。
気候上の主な理由は、南地中海の夏の焼け付くような暑さや、それほど遠くないサハラ砂漠からシロッコと呼ばれる熱風とともに飛来する埃や砂から家を守るためということです。
シロッコが吹くとまるで曇りのお天気のようにお日様を遮るほどの砂埃が空中に舞うんです。
メディナ地区の家々は大きな扉を構え、そのサイズと入念な飾り付けは年月とともに、家長とそこに住む人々の社会的・政治的地位を象徴するようになってきているそうです。
人々は飾り付けの粋を競ってブーゲンビリアやジャスミン、ぶどうなどを植えるようになったそうな。
チュニジアの都市に住む伝統的な家族にとって家の扉は、一国一城とも言える自分の家の内部世界と都市という外部世界とを厳格に、神秘的、詩的に仕切るための象徴的存在なのだそう。
写真の扉はシディブサイドにあるポストカードにもなっているという素敵な扉。
この地区は20世紀初頭、フランス領だった時代にこの地に居を構えたフランス人の富豪が町に建物の色を基本的に青と白に限る条例を敷かせたという話があります。そのため、この地区の扉は全て青。
こんな素敵な扉のあるお家にいつか住んでみたいな〜と思いながらいつもうっとりと眺めてしまいます。
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